文系・工学系の学際・融合教育を目指して

教員

遅野井 茂雄 教授(ラテンアメリカ政治・国際関係、ラテンアメリカ地域研究)

研究テーマとの出会い、その魅力

遅野井茂雄教授

北アルプスを一望する信州の松本盆地で高校までを過ごしました。恥ずかしい話ですが、海を初めて見たのは東京五輪が開かれた年、小学校の修学旅行で名古屋に出かけた時です。毎日高い山を観て過ごした田舎少年には、山の彼方遥か向こうの海外への憧れが人一倍強かったと思います。中学時代は将来の夢として「外交官」と書いた覚えがあります。そして高校時代に大学の恩師となる先生との出会いがありました。その下で、大学で国際関係論と出会い、そして筑波大学大学院で地域研究研究科が開学する偶然と遭遇したことで決定的に研究の道が開けました。

大学院を出て政府系の研究所に就職し、ラテンアメリカ地域研究が仕事となりましたが、研究所の派遣でペルーに留学して帰国後、まもなくして外交官として再びペルーで在勤します。夢が叶ったわけですが、テロが蔓延しハイパーインフレの厳しい条件の中で、大使館に集まる膨大な情報の中から、仮説を立て動向を分析する研究の基礎を鍛えられ、それを通じて外交案件を動かしていく醍醐味を学びました。

こうしてペルーやボリビアなど中央アンデスを中心にラテンアメリカ地域を研究して35年以上になります。地域研究の基本は、対象とする国について、フィールド調査に基づき、常に現代への関心をもちつつ、その国の言葉や価値観に基づき内在的にトータルに理解することにあると考えています。各国はグローバル化が進み相互に影響を受け合ってはいますが、グローバル化の時代には一つの学問方法でこと足れる、とするのは傲慢です。「一つのサイズは全てには合わない」とするのが地域研究のスタンスです。学際性が基本となる所以です。

研究は、その国の歴史から文化、社会経済構造、また行く末にまで及びます。そこには、これまでの研究の過程で関係を築いてきた人々やファミリーの具体的な生活史も重なり合います。経済政策の変化に翻弄される家族や、逆に機会を捉えて中枢の財閥になる家族など、その姿を具体的に想起しつつ、ミクロからマクロなレベルにその国の具体像を作り上げていく、そしてその国の緊張した歴史的な瞬間に共時的に身を置くこと、現代史との遭遇、そこに大きな魅力があります。


学生へのメッセージ

21世紀に入り、グローバル化の進展の中で、新興国の発展と躍進が大変目覚ましくなりました。グローバルガバナンスも、欧米に偏重したものから脱する重要な時期に差しかかっています。その重要な分岐点において、国際関係の理解も新たな視点から学び直される必要があります。

そして、こうした人口ボーナスを抱えた新興国をよく理解し、そこでの皆さんの活躍こそが、日本や皆さんの将来を決することとなります。地域研究の考え方を基本に、新興国でグローバルに活躍できる人材の育成を目的とする学位プログラムが、2012年に文部科学省により採択され、国際総合学類など人文社会系学群において本格的に動き出します。新興国市場を相手に活躍できる精神的にもフィジカルにも逞しい学生の皆さんの応募を大いに期待しています。